「4月に着任する後輩に、今まで自分が身に付けた『教育技術』を『一つだけ』教えるとしたら何を教える?」
初任者に聞いたところ、しばし考え、「時間割の1時間目2時間目に国語と算数を持ってくる」という事をあげた。
私なら「音読指導の技術」を選ぶ。これさえできれば、授業の安定度が圧倒的に増すからだ。
さて、音読指導の技術と言っても、一つだけではない。
たとえば家庭で最も多く行われているのが「追い読み」と呼ばれるやり方だ。すなわち、漢字の読み方やイントネーションなどを先に読んでやって、それをおうむ返しに読ませる。これは誰にでもできそうだ。
ところが、これを30人前後の子どもたちがいる教室で、大学を出たての初任者が、一人残らず追い読みをさせることができるか?
まずできない。100人いたら99人できないだろう。
ところが「教科書、両手で持ってますか?」という指示を出すことを知っていれば、ちょっと違ってくる。その瞬間、両手で教科書を持つ子が何名かいるはずだ。
いなくても構わない。「えらいなぁ!先生が言ったことをすぐにやろうとした子がいるね。そういう子は、勉強ができるようになる!」
これでほとんどの子が両手で教科書を持つはずだ。
「教科書〇ページ。たぬきの糸車。」(たぬきの糸車)
「きしなみ作。むらかみゆたか絵。」(きしなみ作。むらかみゆたか絵)
このように読み始めれば、一人残らず全員に追い読みをさせることができる。
両手で教科書を持たせることで、ようやく音読学習の構えができる。そうしたことを普通の人は知らない。たとえどんなに偉い大学の先生であっても、1年生の教室で、一人残らず教科書が読めるようにすることはできない。知らなければ、「教科書、両手で持って立てる」という指示の有効性がわからない。だから大学の先生は、小学1年生に音読を教えることはできない
ちなみにこの指示は、
①「教科書。立てる」
②「立てる」
③(両手で教科書を立てるぽーずをするだけ)
④(教科書を持ってない子を目で見るだけ)
⑤「教科書4ページ」と言うだけで、全員が両手で教科書をもってすぐに「追い読み」が始められる状態
というふうに進化していく。
四月からこうした指導をしていけば、前期終了するころにはレベル⑤になっている。
音読を安定して行うことができるなら、国語だけでなく算数など他教科での学習も安定して行えるようになる。
今、崩壊寸前の教室でも効果があるはずだ。
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